【記者魂19】入れ墨職員

各種報道によると、大阪市環境局の職員3200人のうち、約50人が同局の調査に対し「入れ墨をしている」と回答したそうだ。橋下市長は「組織として異常」としたうえで「すぐ懲戒免職は難しいが、分限(免職)はあり得る」と述べたという。

これについて「そこまで干渉する必要はない」と反対する声も出ている。確かに、どこまで職場で自由が認められるかといった規律の問題として捉えるのは、そうした意見が出ても不思議ではない。しかし、筆者は学校の校則に関する議論と同じように、規律論で語ってはいけない問題と思っている。

最近では、ファッションとして入れ墨(という表記が適切でなければ刺青・・・タトゥーと言った方がいいか)は認知されていると聞くが、一般社会において万人が認めるほど受け入れられているとは思えない。不快に思う人も少なくないだろう。ここがポイントで、およそ公務に携わる者、住民を不快感を与えてはならない・・・そう筆者は考える。

たとえば、人目につく一般的な商売で、入れ墨をしている人が応対したら、客はどう思うか・・・威圧感を与えるような入れ墨は論外として、ファッションだとしても、今の世では「なんだ、こいつは」と多くの人が感じるのではないか。

橋下市長は「民間へ行けばいい」と述べたが、とんでもない・・・民間企業で四半世紀勤務した身からすれば、ごく一部の例外ではなく、20人に1人の割合で入れ墨社員がいるということの方が驚くべきことだ。

環境局というセクションから、おそらく清掃業務に携わる職員が中心となるのだろうが、人と接する機会が少なくないと考えられるこの業務・・・服を着れば見えないというならまだしも、たとえファッションであっても、人目につくような入れ墨をしている人が任務に就くようなものではないだろう。世の中には、タトゥーしていても、許される職業もあるだろうが、どう考えても大阪市の環境局、許される職場とは考えられない。

同様に、ピアス、茶髪なども挙げることができる。茶髪は、かつて弁護士時代の橋下氏のトレードマークだったものの、それゆえに「お前も茶髪とかしていたのだから、人のことを言えない」・・・と言うつもりはない。

弁護士を商売として考えれば、茶髪が話題になって“行列ができる”か、茶髪で「あいつは信用ならない」と廃業に追い込まれるか・・・となるが、客の側からは自分から選ぼうとして茶髪が嫌なら避ければ良いこと。しかし、環境局の入れ墨職員、うちの町内に来ないでくれ・・・そうは簡単に言えないだろう。

ひと言で言えば、市役所の職員は行政サービスに携わっているのである。どうも、入れ墨(なかんずく、人目につく)をするというのは、そうした意識が希薄なのではないか。あくまでも、大阪市役所環境局の職場環境、風紀が例外中の例外であって、千葉県の職員にそうした人がいないことを願う。