【記者魂32】ネット選挙で大切なのは?

さすがにITを「イット」ということはないが、正直に語ると私はITオンチに属する。それでも、このブログをはじめ、ホームページ、ツイッター、facebook、プライベート用の“裏ブログ”とネットを積極活用して情報を発信し続けることができるのは、スタッフにITのプロがいるためだ。

一方、文章を書くことはまったく苦にならない。議員になる前は書くことを生業にしていたので当然と言えば当然。現役の記者時代は、すし職人が米粒を均等にして握り続けるように、2000字の原稿を書く際には、字数を数えず自然に書き続けて、ほぼ2000字でまとめる作業を1時間足らずで行うことができた。

記事を難なく書けても、自分で発信できなければ何もならないものの、幸い、”出来る”スタッフがいることから、そうしたことを心配することなく、書くことに集中することが可能になる。ITオンチであっても、役割分担をすれば、発信することに何ら問題は生じない。

なぜ、こんなことを書いたかと言えば、今、話題になっているネット選挙に関して反対している政治家の中に、“自分ができない(或いはやろうともしない)”ことを本音の理由にしている向きがいると感じられるためだ。ネット選挙の反対意見としては、誹謗・中傷、なりすましといった行為が横行するリスクが通常挙げられている。しかし、心の底からそれを理由に反対しているのかどうか・・・。

ITが理由だけなら、まだいい。書くことができない、面倒・・・というのもあるだろう。ただ、これも代筆ということで乗り切れる。有名人の著作本にはゴーストライターが多く存在するのは事実だが、本人のメモや言ったことを、たとえば秘書が代筆するのを“なりすまし”と批判されることはないと思われる。ITオンチや、書くことが難儀というのを理由に反対する政治家がいるとすれば、やりようはいくらでもあるので、ぜひ思い直して欲しい。

問題は、書くネタがない、中身の文章が書けない・・・発信力が乏しい点が理由になる場合だ。1度や2度ならごまかせても、ネット選挙ではおそらく継続的に発信し続ける場面が到来する。引出しが少ないとすぐにボロが出てしまう・・・それじゃ困ると考えての反対なら本末転倒。情報化社会が到来した現在、あらゆる媒体を使い自分の考えを有権者に発信することが重要と思われるので、むしろ、ネット選挙の実現は今の時代に即したものとして実行すべきと考えている。

反対に、ここはあまり論じられていないが、ネット選挙を歓迎している政治家にとっても、実現した時点からが自らの発信力が試されるとみた方がいい。毎日、ブログやツイッター、facebookなどで配信し続けても、内容がお寒いようでは有権者の理解は得られないだろう。発信し続ければいい・・・というのは勘違い。問われるのは、政治家が何を発信しているか、あくまでも中身なのである。そう考え、私自身、日々の発信を通じて、自分を鍛えるようにして“来たる日”に備えるつもりだ。

ネット選挙解禁で、これまで投票に行かなかった若者が政治に参加するようになれば・・・そうなれば、政治にとってハッピーだと考えるが、実は反対派で一番困る理由はこれなのかもしれない。