【記者魂43】株価の乱高下で感じたこと

日経平均は1100円安に続いて今日の700円安・・・株式相場は波乱商状となっている。この動きをみて、リフレ政策を快く思っていない向きが、やれバブル崩壊などと論じているものの、ちょっと、待って欲しい。

確かに、長期金利の上昇といった懸念材料はある。上げのピッチが速かったため、調整が深くなるのは当然だろう。バブル期のような動きになっていたことも否定しない。しかし、この間、大きな政策変更があったとは聞かないなど、株価を取り巻く環境は激変した訳ではないのだ。ここまで値の振れが激しくなる理由として、テクニカル的な要因が大きいことを知っておくべきだろう。そして、この要因、専門家の間では常識のように語られながら、一般の投資家に十分伝わっていないと思われる点が残念だ。

その要因は、ユニクロでおなじみのファーストリテイリングの存在。別に、同社が何かをした訳ではない。日経平均を構成する225銘柄の中で、同社株の寄与度は10%と高く、これ1つの動きで日経平均が大きく値が振れてしまうのである。

こうした事例は過去にもあった。日経平均は225銘柄の株価を単純に平均(除数調整はしているが)して計算したものであり、突出して値が高い銘柄があると、それが全体の動きを左右してしまう。Fリテ株は3万円台で推移しているものの、これ1社が日経平均の動きをいびつなものにしている。

過去の例を挙げると、80年代のバブル期には、片倉、松竹、東宝、松坂屋の4銘柄の品薄株の指数寄与度が大きく、これらの銘柄(その後、こうした動きが問題になり、いずれも他の銘柄と入れ替えとなった)が異様とも言える高値を形成し、当時の日経平均の見かけを大きくした。中でも、松坂屋は不動産業者の秀和が株を買占めていたために極端な品薄状態になり、株価が乱高下しやすかった経緯がある。

こうした動きに左右される相場が、果たして実態経済を的確に反映していると言えるだろうか。当時、日経平均が3万円から89年12月の最高値38915円まで上昇した際、中身の乏しい上昇だったと今でも思っている。

見方はいろいろあるため、ここで暴落論を語るのは結構。いかに強気の筆者でも、そうなる可能性はゼロではないと断定できないからだ。しかし、より株価を的確に語るのであれば、こうしたテクニカル的な要因を抜きにしてはならないだろう。

筆者は現在、マーケットをつぶさに観察していないため、持てる知識から書けるのはここまでながら、自分が知りたい、或いは読みたい・・・などと思う株価に対する評論の判断は、こうしたテクニカル要因にまで言及しているか否かを基準にしている。どんな分野でもそうだが、ミスリードを誘発しない良質な評論を求めたい。

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