【記者魂85】私たち地方議員は国会議員の手下ではない!

私をこれまで支持して下さった有権者の中には、私個人としではなく所属政党である「みんなの党」を支持する形で一票を投じて下さった方が多いと思うので、そうした方たちに対して、最初にこれまでの党内の混乱、最近の解党騒ぎに関してお詫びをしたい。

脱官僚、地域主権、生活重視・・「小さな政府」を掲げ、成長戦略を推進する、みんなの党の政策は、今後の日本を考える上で欠くことができないと考えている。ゆえに、党がゴタゴタしようが、何が起きようとも、これらの政策を実現するために党に止まり頑張ってきた。今でもその思いは変わらない。

しかし、にわかに浮上した解党論によって、そうした思いが無残にも打ち砕かれようとしている。志を同じくする仲間にも、そう思っている方が少なくないだろう。昨年の今ごろ、党の分裂騒ぎが起きた際にも、同じようなことを示したが、実のところ、何度となく起きた”お家騒動”というのは、これら政策を原因で起きたことはただの1度もないのである。

今回の騒動も、政策に起因するものではない。「路線対立」という実に有権者から見れば、くだらない理由からだ。この「路線対立」もとどのつまりが、国会議員が身分を守るために発生したものと断じたい。

書生論と批判があるかもしれないながら、政策を実行したいのであれば、政策を愚直に訴えれば良いだけなのである。有権者がいいと思えば投票する、ダメと思えば投票しない・・「政策第一の党」というのであれば、それが基本になるはずだ。

もちろん、少しでも選挙を有利に闘うテクニックを完全に否定するものではない。似通った政策を掲げる2党が競合するのであれば、当然、選挙区を譲り合うなどの協力は不可欠だ。なので、私も自分の選挙に関わる部分で、地方行政に限って言えば政策が近い維新の党との選挙協力を結んだ。

ところが、今回の騒動で漏れ伝わるのは、民主党との合流話・・これを書いている時点では「火の無いところに煙が立たない」レベルだが、どうして、これまで戦ってきた労働組合の影響力が強い民主党と合流といった話が出てくるのか。勝ち上がるためのテクニックとして、選挙協力までは許せるとしても、自党の候補者が不在である選挙区の地方議員は民主党の候補者を応援するのでは筋が通らないだろう。そのようなことをしたら、有権者に対して背信行為になってしまう。

そこまでは、何とか我慢するとしても、許すことができないのは、一連の件に関して、地域で支える一般党員はむろんのこと、各地域において地方議員への説明、意見聴取などが一切行われていない点である。「地域主権」を掲げる政党として、悪い冗談としか思えない。

そう、怒りの本質は「路線対立」といった混乱に対する以上に、党存続という重要な事項について、地方議員がまったく蚊帳の外に置かれていることなのである。正直、この路線対立、党内人脈などによって、地方議員も双方に考えが分かれているものの、今回の議論に関して、いずれの考えに関係なく、地方議員の大半が中央に対して怒りをぶつけているのである。

はっきり言いたい。私たち地方議員は国会議員の手下などではないのだ。

「解党」の意見を堂々と述べた国会議員もいるようだが、果たして、選挙のたびに頑張っている党員や地方議員のことを考えた上での意見なのだろうか。国会議員のことのみを考えただけの意見と思わざるを得ない。「地域主権」の旗の下に集まった同じ党人として、情けなくなってくる。

自分の所属政党のことばかり記したが、そのように思っている地方議員は与野党を問わず他の党の中にも少なくないと常日頃感じていることは、以前にも記した。地方は地方でやることが山積みで、12月定例議会の真っ最中に総選挙が行われることについて、不満を持つ議員は多いと思う。

実際、各紙報道によると、自民党岐阜県連は年内の衆院解散・総選挙に反対する決議」を採択している。そこでは「消費税を解散の大義名分とするのは後付けで、国民のことを一切考えない党利党略」とするなど、解散を断行しようとする安倍首相を事実上、公然と批判する格好となった。

そこで目を引いたのは、野田聖子前総務会長ら県選出の衆院議員は全員「公務のため」などとして欠席したという点である。国や地方を問わず議員は忙しい、なかんずく選挙が迫る衆議院議員に時間に余裕がないのはわかるが、全員欠席というのはいかなることか。他党のことなので、とやかく言うことではないながら、自分の立場から見れば、地方議員が軽んじられたと見ざるを得ない。

私自身は、千葉県の発展のために、政策実現に真摯に取り組んできたが、同じように県発展に取り組む議員は少なくないだろう。党人として公認候補を応援するのは当たり前である。しかし、我々はそのために存在する訳ではない。あくまでも、地方議員は地域に住む人たちの生活の為に働くのが本来の仕事で、国会議員を当選させるための仕事が第一ではないはずだ。

むろん、党人である以上は、選挙の応援は行うが、地方議員は地域のために働いているということを理解して頂きたいのだ。以前、”手足”という言葉に反発していると記したものの、百歩譲って”手足”にはなっても、我々は決して貴方たちの”手下”ではない。

エゴ丸出しの国会議員に振り回されることなく、地域のために落ち着いて仕事をしたいと考えるようになった。そうなると「嫌なら1人でやれ」となるのだろうが、現実を考えれば、選挙そのものは戦えたとしても、1人では議会内において政策実現に困難が付きまとう現状を踏まえると、来春の自分の選挙に向け、これから悩みが尽きなくなりそうである。