【真実を発信(12)】国際バルク戦略港湾

真実を発信 昨日もブログで記しましたが、無事に代表質問を終えることができました。10項目、26問の質問を通告、すべてに当局から答弁を頂き、このうち6項目については再質問を行った訳です。

 本会議場の質問はセレモニー的な面があることは否定できません。事前に、担当者と意見を交わし、その中で何とか答弁を引き出そうとする訳です。ただ、昨日の場合、9番目に質問した「国際バルク戦略港湾」については、当局の姿勢に納得ができず、まったくのガチンコ勝負!千葉テレビでその様子が中継されたので、ご覧になった方は感じたかもしれませんが、かなり熱が入りました。

 少し長いですけど、昨日の質問を以下に記します。

 次にお伺いしますのは、国際バルク戦略港湾についてです。本県の産業を語る上で、巨大な製鉄所を擁する鉄鋼業を抜きにすることはできません。これまで多額の税収をもたらしたのみならず、多くの人を雇用しているなど、鉄鋼業は本県経済に貢献してきました。

 鉄鋼業の拡大が千葉の経済を発展させるために必要と言えるでしょう。そのためには、行政の後押しが求められるところですが、本県では鉄鉱石の安価かつ安定的な海上輸送を実現し、国際競争力の強化を図るため、木更津港を「国際バルク戦略港湾」に応募。今年の5月31日、国土交通大臣から選定されました。

 これが実現した場合、大規模なプロジェクトになることは言うまでもありません。国や県の財政が厳しい中で、巨額の費用を要する無駄な公共事業は批判されますが、県の経済に貢献するとみられる国際バルク戦略港湾は、前向きに行うべき事業でしょう。

 産業の発展と社会インフラの充実は密接な繋がりがあります。我が国経済が発展したのは、優れた技術力だけが理由ではありません。整備された道路、港湾などが製品、部材のスムーズな輸送を可能にし、製造業のコスト削減に貢献したことも大きいとみることができます。

 ガタガタの道路、貧弱な港湾では思うような物流体制を築くことはできず、今のようにインフラが整備されていなければ、日本経済はここまで発展しなかったのではないでしょうか。それゆえ、私は必要であるインフラ投資は積極的に行うべきと思うとともに、木更津港を国際バルク戦略港湾として整備することは本県にとってひじょうに重要な課題であると認識しております。

 立地企業は新日本製鉄株式会社、君津製鉄所となりますが、プロジェクトの鍵を握ると思われるのが、新日鉄と国、本県の費用分担でしょう。このプロジェクトは本県が提案したものとは言え、完成後はプライベートバースとなります。この場合、新日鉄の費用負担は全体の75%。果たして同社が、それに応じるかどうか、ここが心配されるところです。

 新日鉄は来年、住友金属工業、略して住金と来年、合併を予定しており、先に、新社名を「新日鉄住金」に決めたと発表しました。企業が合併する場合、その目的が事業の効率性を高めることにあるため、事業所や工場などの統合を進めます。かつて13行あった都市銀行は、現在は3つのメガバンクに再編されましたが、たとえば、同じ駅前にあった店舗が統合後、次々に1つの店舗に集約されていったことなどは典型的な例と言えるでしょう。

 新日鉄と住金も合併後は、国内にある製鉄所に関して、経済合理性の観点から再編、集約していくものと想定されます。そうした中での、国際バルク戦略港湾のプロジェクトが浮上した訳ですが、かりに、これが頓挫した場合、合併会社が君津製鉄所を存続する保証はどこにもありません。県経済を考える上でも、このプロジェクトを推進、実現させ、君津製鉄所を国際競争力のある製鉄所として強化させる必要があるのではないでしょうか。

 日本では企業城下町と言われる自治体がございますが、こうした自治体で企業が撤退したために、街が衰退してしまった例は少なくありません。財政破綻してしまった北海道の夕張市。ここもかつては石炭産業で栄えた街でした。夕張の今日ある姿は、放漫財政が直接的な要因ながら、おおもとは競争力を失ったために炭鉱が閉山、それによって多くの人が離れてしまったことが背景にあります。

 本県から新日鉄が撤退するようなことがあってはなりません。そのためにも、同社の事業環境を整えるサポートを前向きに考えるべきと思います。「新日鉄が撤退など、そんなバカな」──と思われる方も多いでしょうが、思いもよらない企業の撤退劇は、国内産業の歴史においていくつもございました。国際バルク戦略港湾は、本県の経済を安定的なものとし、そして発展させるためのプロジェクトとして意味が大きいものと考えられます。

 ここで質問に入らせていただきます。国際バルク戦略港湾についての県の考え方とこれまでの取組み状況はどうか。また、事業化の実現についての見通しはどうか。以上、2点についてお答え下さい。

 以上のように壇上で質問をしました。

 勉強会などでの意見交換の感触から、前向きな答弁を引き出すのは難しいかな──と思っていました。しかも、担当者に対して「議場で、しかるべき答弁を待っています」と啖呵を切りましたから。

 しかし、施策について前向きな答弁・・・しかも、再々質問時には、実際には質問を行わず(まったく予定をせず、時間が余ってもったいないと感じたため、その場で考えて要望した「森田ブランド」云々のところが注目されてしまいましたが・・・)、経産省の幹部との意見交換から思った「成長戦略ではなく、雇用の問題として進めた方がいい」と意見を述べただけ、質問をしなかったのにも関わらず、副知事が答弁。これは異例なことです。

 「このプロジェクトは国策の一丁目一番地。新日鉄が75%も費用負担する現行制度はおかしい。制度を変えるよう働きかける」──最後に、このような趣旨の答弁を頂きました。

 千葉県経済を考える上で、とても重要と思われる課題ながら、どの会派も取り上げませんでした(今のところ一般質問でも通告はないようです)が、これと思ったテーマについては、今後もトコトン取り組んで、政策が前進するように努めたいです。

 また、今回は代表質問に臨むにあたり、ネタ集めから始まり、1時間分の原稿をまとめるなど、2カ月以上、入念に準備をしました。何人かのブレーンの意見も聞いたほか、同僚議員との意見交換も重ねています。消防をメインにした防災問題、コメ先物取引を含む農業問題などでは取材や視察を重ねたほか、観光振興で取り上げたカジノに関しては、桜井千葉市議との勉強会も参考に・・・桜井市議にはこの場を借りてお礼を申し上げます。

 なお、カジノに関しては、ウォールストリートジャーナル日本版サイトでコラムも執筆しているので、この文章をクリックしてお読みになって下さい。

 今後も、自分の時だけではなく、同僚議員が質問で壇上に立つ際にはサポートするなど、県議団の政調会長として務めを果たしていきたいと思います。

(水野 文也記す)