【記者魂16】原発停止で節電モード、計画停電するなら公平に

北海道電力の泊原発3号機が5日午後11時、定期検査のため運転を停止したことで、国内にある50基の原発すべてが停止状態となった。国内で原発を利用しなくなるのは、原発黎明期だった1970年(昭和45年)以来42年ぶりとなる。関西電力の大飯原発が再開第1号となるか行方が注目されるものの、夏場の電力需要期を前に、世が節電モードになることは確かだろう。

筆者は、既に原発推進派ではないことをこのブログで明らかにしているため、ここで原発の功罪についての議論は割愛する。電力需給を踏まえ計画停電が、この夏に行われるかどうか──1人の体験者として述べたい。

東日本大震災が起きた直後の昨年春、地元市川を含む東京電力管内で計画停電が実施された。5つのブロックに分け、1日あたり2時間、ブロックごとに配電が停止。不自由な生活を強いられたのは記憶に新しい。

未体験の読者も多いと思われるので、どんなイメージか簡単に記すと、たとえば、その日の「17時から20時まで」の地域に該当した場合、その3時間がすべて停電になる訳ではない。3時間のうちの2時間、始まる時間はわからないのである。17時10分からかもしれないし、ギリギリの19時近くのスタートかもしれない。とにかく、時間帯に入ると、突如、ブレーカーが落ちたように、ブチっと周辺が一斉に配電停止となるのだ。

子どもの頃、よく停電を経験した身としては、それを思い出せば、さして驚かないのであるが、困るのは夜など周辺全体が真っ暗闇になること。それだけではない、道路の信号も停止するなど、自動車の運転は危険極まりない。

それが数日続くと、慣れてくる。また、計画停電に該当する地区でも、消防、警察といった緊急施設がある区域は停電にならない。市川では、コルトンプラザというショッピングセンターがあり、そこは消防署が至近距離にあるために停電とはならず、“暖”を求めて計画停電の時間帯に人が集まった・・・などということもあった。

全体がパンクしてパニックを防ぐためには、計画停電もやむを得ないと考えた。しかし、お隣の東京都では計画停電は一部を除き実施されていない。首都機能をマヒさせないため・・・というのはわかるが、公平とは言えないのではないか。

確かに首都の中枢を機能不能とするリスクがあるため、一律に計画停電を実施するというのは現実的ではないというのはわかる。しかし、そのために一方的に郊外の住民が不便を強いられるというのはどうか。せめて、土曜日、日曜日は都内も一律にする、或いは計画停電を実施する地域の電力料金を大幅に割り引く・・・などといった施策を取っても良いと考える。

千葉県の東京湾沿岸は火力銀座とも言えるほど発電所が多く、そこから首都圏全体に電力を供給している。なのに、計画停電を実施・・・住民意識を考慮すれば、納得できるものではない。

昨年の計画停電は、震災後の非常時ということもあって、やむを得ないというムードもあったが、今後実施するのであれば、公平性を考慮して行って欲しい。