【記者魂17】私の森田健作論

よく「森田県政にどう臨んでいるの?」といった質問を受ける。森田健作千葉県知事は、来年春に行われる知事選に出馬するか否か公の場で姿勢を明らかにしていないために、今ここで再選に向けて支持するかどうかを示すのは意味がないが、任期が残り1年を切った現時点での、知事に対する考え方をここで記すことにした。

これまでもブログ等で記してきたように、私が属する、みんなの党県議団は、森田健作知事に政策面で是々非々の対応している。地方議会において、巷間、みんなの党は「第2自民党」やら「保守の共産党」といった声も聞かれるものの、それは個々の「賛成」「反対」だけを取り上げれば、そう見えるのかもしれない。逆に、これら真逆の見方が時同じくしてなされるのは、我々が是々非々でしっかり対応していることの証しになると言えよう。いろいろな見方をされながらも、基本は保守政党であることを念のため付け加えておく。

筆者のこの1年を振り返っても、2度登壇した代表質問では、東日本大震災後の被災地である浦安市への対応について疑問を呈した反面、治安や産業に関する政策に支持する姿勢を示した。また、2月議会の予算委員会においては、国際バルク戦略港湾事業について積極的な推進を働きかける一方で、人件費問題の追及も忘れなかった。

「非」に関しては、党のアジェンダに沿い今後も人件費問題を追及していくことになるが、一方の「是」に関して、筆者が「これは大切にしたい」と思っていることが1つある。それは、これまで議事録にも残した「森田健作ブランド」だ。

観光、生産物など、あらゆる面において「森田健作ブランド」は本県にとって、明らかにプラス作用していると思われる。若い時から俳優として活躍、その後、国会議員を務めた著名人でもある知事は、間違いなく「千葉の広告塔」と言っていいだろう。森田知事がイベントに参加すれば、それだけで盛り上がる。いかに優秀でも官僚や市民運動家が知事をしても「千葉をアピールする」という点において、森田ブランドには敵わないだろう。

かつて、東国原知事の時代、宮崎県の物産品は大いに注目された。ところが、同知事が退任した後はどうか。今、宮崎県が独自に何かをやろうとしても、以前ほど注目されるとは思えない。その点から、有名人知事は、その存在自体が県民の財産になると考えられる。ゆえに、森田知事がご在職中は、そのブランドを余すことなく活用すべき──「是」の部分として筆者は思っているのだ。

人口が減少する時代となり、農工商を問わず産業を発展させるためには、いかに生産物に付加価値を付けるかが重要になる。海外の著名ブランドからテキヤが販売する品物まで、商売の基本は原価をいかに抑えて儲けを大きくするかだが、知事が先頭に立って千葉県産品をもっとアピールすれば、お金をかけずに広告を打つのと同等の効果が生じさせることも可能ではないか。

官民問わず、トップによって組織が浮かぶこともあれば沈むこともある。トップダウンであるならば、トップの資質のうち良い部分が出ずに悪い部分で物事が進んでしまうリスクがあるが、幸い、地方自治体は首長と議会の二元性──悪い部分を「非」として抑え、良い部分を引き出そうと努力するのが、議会の議席を預かった議員の責務だ。

先述したように森田県政に対して、みんなの党県議団の基本は是々非々だが、森田知事が知事の任にある以上、筆者はその「県民のために生かせる部分」を最大限引き出す──少しでも千葉県を良くするためには、「森田ブランド」を財産としてきっちり管理、運営することが重要だと思っている。

表題を「私の森田健作論」と大袈裟に記したが、森田知事に関して、今後も折に触れて記していきたい。

※ウォールストリートジャーナル日本版サイトでコラムを執筆しましたので、この文章をクリックしてお読みになって下さい。