【記者魂115】黒田バズーカ3、アベノミクス相場は継続か 

サプライズのマイナス金利・・といったところか。29日の東京株式市場は乱高下しながらも、最終的にはこれを好感する格好で急反発、為替も一気に円安に振れた。ひと言、感想を述べれば、これによって、終わるリスクが高まっていた”アベノミクス相場”は継続する、となる。

ただ、株価は回復しても、今回のマイナス金利が、実態経済にどれほど貢献するか掴み切れない。銀行が必要以上に日銀の当座に預けると損をするようになるため、市中にお金が出回ることになるが、その余剰資金が貸出しに回り、かつ企業の設備投資に向かう保証はないのだ。

設備投資を行うということは、当然、将来の需要増大が見込まれる場合となる。ところが、それがハッキリしていない。日本でそれほど需要拡大が見込めるのか。主要輸出先をみても、中国経済に対する不安は大きく、利上げ後の米国も不透明感が残る。従って、実態経済にプラスになると言い切れない状況なのだ。

株式市場にプラスになるのは今の時点で確かだろう。このタイミングでのマイナス金利導入は、甘利大臣辞任後のアベノミクスに対する不安を払しょくさせるため、との穿った見方があるものの、委員の採決が5対4と僅差で決定、否決されることも十分あったため、それはどうかと思う。ただ、ここのところのマーケットの状況からの判断だった可能性が高いと思われる。

黒田バズーカ1、2で株価は上向きを鮮明にした。今回の第3弾で三たび、上昇トレンドに向くと思われる。実態経済が株価に比して上向きが乏しければ、今度こそ、バブル相場になりかねない──その点に留意する必要があるだろう。