【記者魂11】欧州危機

記者魂昨年来、欧州危機が収まる気配がない。ギリシャがデフォルト(債務不履行)するかどうかマーケットは注視しているが、簡単に言えば、貸したお金が返って来ない例が起きれば、金融機関が貸すことに躊躇するようになるのは当然のこと。結果、少しでもマネーは安全を求める格好となり、本来なら貸して貰える相手でも貸して貰えなくなり、お金が回らなくなることで世界的に経済が悪化することが懸念されている。

よくよく考えてみると、ユーロの導入に無理があったのではないだろうか。生産性が高いドイツやフランスと、生産性が低い南欧を経済的に統合すれば、人もお金も生産性が高い地域に集中する。低い地域の生産性が上がれば、ハッピーな結果もあったと思われるが実際にはそうなっていない。低い地域を高い地域が面倒を見なければ、低い地域が破綻、それが広がり、ユーロ圏は比較的健全な財政の地域も巻き込んで全体が沈没してしまう。

いずれ、国債の格付けで最上位のトリプルAを堅持しているドイツの双肩にかかってくるようになるのだろうが、国民が勤勉で生産性が高いドイツの人にしてみれば「何で働いて頑張っている我々が、働きの悪いヤツらを助けなければならないのか」──そう怒るのも無理がないことだろう。ユーロの体制を維持するのか、自国の国益を最優先するのかドイツの動きが注目されるところだ。

ただ、そこで自国の国益を最優先──となっても、デフォルトが広がり世界経済が混乱してしまえば、輸出で稼いでいるドイツにしてみれば、それも厳しい。進むも退くも、いずれも茨の道が待っている状況のように思える。

株価、景気動向など経済については、「万年強気」とまで言わないまでも、これまでの経済見通しに関する執筆で、どちらかと言えばブルの論評が多かった筆者だが、今回の欧州危機については、強気でみることはできないでいる。

地方議員の立場で物を申せば、来年度、再来年度あたりの税収は落ち込みが心配され、予算編成については決して甘めの歳入を見積もってはならない──そう考えて、千葉県の財政を論じていくつもりだ。