【記者魂(1)】脱原発、環境問題も合わせた議論を

2011年7月18日

記者魂記者時代は、真実を伝える一般的な報道業務とともに、コラムを書くことに生きがいを感じていました。議員になっても書くことは続けようと思い、現在、ウォールストリートジャーナル日本版サイトでコラムを執筆しています。

このブログでは、日常に起こったことのほか、これまで議会の姿をお伝えするため「真実を発信」を記してきましたが、議会閉会中はネタ切れとなってしまうので、その間、ブログにおいても「記者魂」のタイトルでコラムを書くことにしました。

コラムは、ロイターの記者時代に書いていた「討論×闘論」、現在執筆中の「新人議員日記」と同様、いわゆる「である調」で記します。

「脱原発、環境問題も合わせた議論を」

原子力発電所を完全にゼロにしてもいいのか──。おそらく、福島第一原発事故震災前ならば、それに賛同する意見の方が少なかったように思う。

経済記者だった筆者も、「原発ゼロなどとんでもない」と思っていた1人。安全性を考えれば頼らない方が良いと考えつつも、発電コストといった経済合理性といった点を踏まえれば、原発には頼らざるを得ないと考えていた。それだけではない。忘れ去られた様子だが、以前は原発推進には環境問題も背景にあったのである。

現在の技術力や運用状況、堤防はじめインフラなどから安全性が完全に担保されていない以上、脱原発の流れは当然となろうが、これを政策として火急に進めた場合、経済が混乱してしまう。脱原発に対して今主流となっている反論は、この経済の混乱にあるようだ。

かりに原発ゼロを政策として実行した場合、どうなるのか──。すべての原発について稼動を停止すると、日本の電力エネルギーの実に3割が喪失するリスクが生じるという。国の定期検査終了後も再稼動停止となれば、来年の夏は電力不足が一段と懸念されることになる。

実際には、停止中の火力発電所を再稼動するなどして、ある程度はカバーできると思われるが、そうなった場合、化石燃料を今以上に使用することになるので、環境問題に影響を及ぼしそうだ。そう、これまで原発は炭酸ガス削減に貢献していたのである。

太陽光など再生可能エネルギーの推進が、炭酸ガスの抑制策としては一番。だが、技術力、経済合理性の観点から、本当の意味での実用化まで時間が必要だ。先行き脱原発を推進するとして、将来的に再生可能エネルギーにシフトして行く場合、これらが本格的に実用化するまでに“つなぎ”をどうするかを考えなければならない。

その“つなぎ”としては、(1)原発を使用しながらフェードアウトさせる、(2)原発を停止する代りに化石燃料発電でしのぐ、(3)“つなぎ”を不要とし電力不足に甘んじる──の3点が考えられる。

豊かな経済を維持するために電力の安定供給に重点を置くなら(3)は問題外だ。原発を今すぐゼロにして再生可能エネルギーを代りに…と説く人は、猛暑の中でもエアコンは不要、日本の経済力低下もやむを得ない──ここまでの覚悟はあるのだろうか。

他方、環境問題を考えれば、今さら(2)という訳にもいかないだろう。現実的な選択としては(1)となる。ただ、それには安全性の確保がクリアできなければ、脱原発の流れに傾いている現在、生活者から理解を得られない。

化石燃料から再生可能エネルギーへの転換・・・京都議定書などで環境問題が声高に叫ばれていた時、日本が経済活力を失わずに環境問題も同時に取り組む・・・それを可能にしたのが原発のはずだったように思う。

こうした経緯から、脱原発、経済的な側面だけではなく、環境問題を解決する手立ての1つであったことも合わせて考える必要があると言えよう。いずれにしても、脱原発は、経済、安全性、そして環境──何が重要なのかを議論し、その上でしっかりした道筋を立ててから語る問題であることは確かだ。

(水野 文也記す)


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